ペインクリニック・東洋医学について

About pain clinic and oriental medicine

「ペインクリニック」を簡単に言えば、患者さまの痛み(ペイン)を専門的に診断・治療するところです。しかし、ただ単に痛みをとるだけでなく、治療により麻痺や痙攣、血行障害、花粉症、アレルギー、自律神経失調症などの症状も改善します。

ペインクリニックの対象となる主なもの

痛み 全身 帯状疱疹、がんの痛み、脳卒中後後遺症の痛み、中枢性疼痛
頭部・顔面 片頭痛、緊張型頭痛、三叉神経痛、舌咽神経痛、顔面神経麻痺
頸・肩 肩こり、むちうち症、頸椎症
胸背部 肋間神経痛
腰部 ぎっくり腰、腰椎椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰痛症
下肢 坐骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症
麻痺・痙攣 顔面神経麻痺、顔面けいれん、眼瞼けいれん
血行障害 閉塞性動脈硬化症、バージャー病、突発性難聴
その他 アレルギー性鼻炎、自律神経失調症、多汗症

西洋医学的治療法

Western medicine treatment

ペインクリニックの西洋医学的治療法は大きく3つに分かれます。

  • 薬物療法
  • 神経ブロック療法(注射で治療)
  • レーザー療法(レーザーで治療)

本科の特徴的な治療法

Characteristic treatment method of this department

医療が発展した現在でも、通常治療法(西洋医学)で治療しても中々痛みやしびれが治まらない慢性の痛みをお持ちの患者様に対して、当科では通常治療法(西洋医学)だけでなく東洋医学的アプローチを併用して行います。

東洋医学的療法(遠絡療法・鍼治療)

Oriental medicine therapy

経絡(つぼ)を押したり、鍼を刺入することにより、生命体の流れを繋ぎ、補強することによる難治性疾患に対する治療法です。
流れが障害された経絡(つぼ)を押すと痛みがありますが、流れがよくなると症状が改善するだけでなく、押すときの痛みも減少します。(不通則痛・痛則不通)

  • 鍼治療
    生体の外部センサーを刺激して、生命体の流れをよくする。
  • 漢方療法
    内部センサーを刺激して、生命体の流れをよくする。

このような治療法で、体全体の調子を整えながら、難治性慢性疼痛をお持ちの患者さまのしびれ、痛みが改善した症例を経験しています。
難治性慢性疼痛をお持ちの患者さまの多くは、周囲の人々から痛みに対する理解が非常に得られにくいのが実状です。出来るだけ早く痛みの治療を開始することが何より大切です。西洋医学では治らないと感じている患者さまは、是非一度外来受診をしてみて下さい。痛みから解放されるかもしれません。

症例1:遠絡(経絡)療法と漢方療法の併用で抗がん剤動注後のCRPSⅡの症状が劇的に改善した症例

【50歳 男性、主訴:左手・前腕の痛み及び痺れ】

現病歴:1年前に左肺尖部腫瘍に対して化学療法(動注)及び放射線療法を受ける。最初の治療の動注療法後に左上肢の完全麻痺を起こし、現在、リハビリにて肩と肘は少し動かせるが、指の動きは不可能。疼痛としびれが強く、オキシコンチン30mgでも疼痛コントロールは不十分な為、紹介受診される。


【現症】左肩から手にかけて、自発痛・痺れおよびアロディニア、筋力低下、廃用性萎縮を認める。

【経過】最初の星状神経節ブロック後、左手の痛みが増強した為、治療法を変更し、1)遠絡療法、2)漢方療法:桂枝加朮附湯 、真武湯、附子末 を併用する。 遠絡3回目で、手の痛みは殆どなくなる。但し、左上腕に重い痛みと痺れがある。治療開始1ヵ月半後、オキシコンチンを中止しても、疼痛がなく、痺れも軽減する。犬を抱っこすることや、両手で合掌することができ、職場に復帰できた。

【考察】遠絡療法と漢方療法の併用は、CRPSの症状改善に対して相乗効果が期待される。

症例2:複合性局所疼痛症候群の治療例

【16歳 男性、主訴:右肩から右手にかけての激痛(びりびりした痛み)】

現病歴:平成X年7月14日テニスをして、右肘に痛み出現。整形外科受診し、テニス肘と診断、テーピングして18日テニス大会に出場。9月に文化祭で、太鼓打ちの練習で、再度右肘に痛み出現。整形外科受診したが、次第に疼痛増悪し、右肩、肘、手まで痛みがでて、運動できなくなる。10月にはギブス固定したが、痛み増強する為、10月6日 某大学 ペインクリニック受診。CRPS診断のもと、外来で硬膜外ブロック、遠絡療法、プレガバリン内服するも痛み軽減しないため、11月24日当科受診し入院となる。

【現症】痛みの指標であるNRS8/10、 右肩から手にかけて運動障害、右握力測定不能、痛覚過敏、アロデニア、右肘の軽度腫脹
西洋医学的診断:CRPSType1

【治療】漢方薬、ノリトレイン、星状神経節ブロック、トリガーポイントブロック、頚椎および上肢に電気鍼治療をおこない、鍼治療後、十分除痛した後、リハビリを施行。

【経過】入院後、鍼治療後はNRS8/10から5/10、痛み度198から31に軽減。右上肢運動も可能。しかし、治療後4~5時間で、痛みが出現。漢方薬を変更する。

1週間後、痛み軽減が、5~6時間延長。現治療に効果あると判断して、継続治療とする。

2週間後、NRS1~2/10.「以前の痛みはもうない。鉛筆で字がかけるようになる。

12月8日、NRS1~2/10.右手で勉強できるようになる。右上肢運動もできるまでに回復する。右握力20.8kg、左 32.4kgまで改善。12月10日(入院17日後) 右握力29.6kg。痛みないため、退院。

症例3:複合性局所疼痛症候群の治療例

64歳 女性、主訴:左首から手にかけての痛みとしびれ、左手指の屈曲障害】

現病歴:平成X-2年5月交通事故。その後、吐き気、左頚部への上肢痛、しびれ出現。リハビリ治療行うが、左首から手にかけての痛みとしびれは改善せず。鍼灸院や整形外科通院し、鍼治療やブロック療法を受けたが、効果はなかった。左首から手にかけての痛みとしびれ、左手指の屈曲障害が継続するため、平成X年6月24日某病院ペインクリニック受診。左星状神経節赤外線照射、左肩トリガーポイント施行するも、効果がないため、8月9日紹介受診となり、16日入院となる。

【経過】入院時、痛みの指標NRS8/10。右電気頭皮鍼療法を行い、NRS3/10
まで改善。左手屈曲が可能となる。治療後5時間程で痛みが戻る。
18日右電気頭皮鍼療法と左頚部から上腕の鍼療法を同時に行う。22日痛みが軽減し、治療前でもNRS5/10で小指が曲がるまで改善する。
痛みが軽減(NRS2/10)したので、25日よりリハビリ開始する。右手握力21Kg,左手握力5.6Kg。

9月8日(入院3週間後)痛みなく運動できるようになる。右手握力24.8Kg,左手握力22.9Kgと著明に改善した為、9月9日退院となる。

症例4:首から両肩にかけての痛み、両手のしびれが改善した症例

主訴:首から両肩にかけての痛み、両手のしびれ
既往歴:49歳 腰椎椎間板ヘルニア、51歳 子宮筋腫手術、53歳 右膝関節鏡手術
現病歴
平成X-1年12月頃より、首から両肩にかけてのこりと痛みと両手のしびれ出現。
近医の整形外科や整骨院にかかっていたが、症状が次第に増悪してくるために、平成X年 4月15日初診。

西洋医学的所見
身長148cm、体重62.4kg。頚部X線ではC4~6の変形ならびに骨棘の形成、椎間孔の狭小化が認められた。診断:変形性頸椎症

【経過】
初診時に桃核承気湯処方。
1週後、「肩こりが少し楽になりました。」同処方が有効と考え、継続する。
4週後、「頭痛はなくなりました。便秘もありません。肩こりが少しある程度です。手先のしびれが残っています。」肩こり体操、ストレッチ等、運動するよう勧める。
8週後、「調子いいです。手先のしびれもありません。」その後、同処方を継続しているが調子良好である。

まとめ:漢方療法で変形性頚椎症による首から両肩にかけての痛み、両手のしびれが改善した。

症例5:頚椎ヘルニアで鍼治療を含む統合的治療が奏功した症例

主訴:両手両足のしびれ、両手の痛み(NRS8)】

現病歴:平成X-1年7月頃より、両手のしびれ出現。整形外科受診。MRIでC4/5ヘルニアによる頚椎症で、入院加療し、リハビリ行う。次第に両手を動かすと疼痛としびれがでて、箸も持てなくなり、両下肢のしびれも出現する
平成X年6月より某大学東洋医学科外来加療受けるが、症状改善しない為、
平成X年9月17日当科外来受診し、10月13日入院となる。
入院時現症:身長153cm、体重62kg、握力(R:8.3kg、L:0kg)
既往歴:昭和63年糖尿病(3回入院)、平成20年 狭心症、心臓カテーテル術施行、平成21年 頚椎椎間板ヘルニア
西洋医学的診断:X-P:C4/5椎管孔の狭小化、MRI:C4/5ヘルニア、頚椎症性神経根症
治療:漢方薬(桂枝芍薬知母湯、桂枝茯芩丸、ブシ末)を服用。
星状神経ブロック、トリガーポイントブロック、電気頭皮刺激鍼治療後リハビリを行う。

【経過】
10月27日(2週後)には、両手動かしても痛みはなくなる。両足のしびれもなくなる。11月4日(3週後)本のページがめくれ、パソコンも打てるようになる。食事は全部箸でできるようになる。
11月17日(5週後)両親指が少し痛い程度(NRS2~3)。握力(R:11.4kg、L:5.4kg)に改善。
11月29日字を書いても痛くない。「免許の更新できました。」
12月27日握力(R:12.3kg、L:8kg)にまで改善し退院となる。
平成X+1年 6月両手の痛みなし。握力(R:15.9kg、L:11.2kg)、MRI上変化なし。

まとめ:統合的医療(東洋医学+西洋医学)で症状が著しく改善した頚椎椎間板ヘルニア症例を経験した。統合的医療は難治性疼痛の治療に有用である。

担当医表

Doctor in charge

ペインクリニック・東洋医学 担当医表

緒方緒方緒方緒方
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